ライター紹介

某ファッション研究所 ディレクター
多くの百貨店、GMS、専門店に対してマーケティング、トレンドのディレクションのみならず商品企画、売場作り、ブランド開発にいたるまで幅広く活動。

パリのデパートには、日本でお馴染みの靴下がたくさん並んでいる!!!
9月の初め、パリへ出張に行きましたので、今回はその時の模様をレポートしたいと思います。
毎年この時期にはヨーロッパへ出掛けて、定点的にファッション動向を見ていますが、今年は靴下においてとても大きな変化がみられました。それはヨーロッパ市場における『日本の靴下の進出』です。もちろん以前から日本の靴下はいろんなショップで売られていましたが、残念ながらファッション感度という部分においてはどうしても、イタリアやフランス、オーストリアの商品群の方が一歩リード...という感が否めませんでした。
ところが、今では日本の靴下は、特にファッションレベルが相当にアップし、皆さんが日本で大変お馴染みのブランドやメーカーの靴下が、今やパリの大きなデパートやセレクトショップ、路面店で大々的に販売されているのです。日本人としてはとても誇らしい情景です。

日本風商品に仕立てた、アニメをパッケージに使ったタイツを発見。「AKIRA」や「seisei」と書かれている。特に意味があるのか?不明。
ヨーロッパの人達が日本の靴下に求めるものは大きく3つあるのではないかと思います。その一つは『KAWAII』。今や日本人の代表的感性の一つとでもいうべき『KAWAII=カワイイ』は、もちろん靴下にも上手に表現されていて、例えばつま先だけにかわいいお花のブーケが編まれていたり、普通のドットのタイツと思いきや、ドットの部分だけにキラキラとラメがあしらわれていたり、森の中に小鳥やバンビやキノコがいる、というとてもファンタジックな絵のような靴下だったり...。特にファンタジックな要素は今の大きなファッショントレンドの流れでもありますが、そういう靴下はヨーロッパの靴下ではあまりお目にかかりません。また日本のアニメからのイメージも多分に影響を与えています。
二つ目は『品質』。最近の低価格化の風潮で<いい素材を使って上手な縫製で丁寧に仕上げる>という、モノ作りにおける大事な部分が後回しにされている傾向が多々見られます。靴下もしかり。その点、日本の靴下は(もちろん全部ではありませんが)履き心地や素材感のよさにこだわった丁寧な商品が多いように思います。それがヨーロッパでも認められているのではないでしょうか。

日本のカワイイ靴下も、シックにコーディネートされている。
三つ目は『機能』。もう5〜6年程前になりますが、日本ではお馴染みの5本指の靴下がヨーロッパ市場に出回り始めました。いろんな名称で呼ばれていましたが、最もポピュラーなのが『サムライ』。なかなかユニークですね。その後、ヤンキースの松井が愛用していることが紹介され、世界的に市民権を得ました。その5本指も、機能的ということが認められてのことです。デイリーウェアにもスポーツで使われるような機能素材を使っての商品開発がますます進歩していますので、靴下にも今後、機能性がもっと求められていくでしょう。
『KAWAII』『品質』『機能性』、この3つの武器と、プライス戦略を加えると、日本の靴下は今後、ますます世界のマーケットに羽ばたいていくことでしょう。
最後にもう一つ。これは私が今回パリでふと思ったことですが、日本人は、靴下作りがとてもうまいのではないでしょうか。靴下、という小さなサイズ感、なんともユニークでかわいらしい形状、いろんな世界を表現できる可能性を秘めている商品...日本人の感性がうまく生かされるアイテムが靴下なのかな、と。更に素敵でユニークで新しい靴下が、日本から生まれていくことを期待して、世界の靴下界をリードしていって欲しいですね。がんばれ、ニッポン!!!
